2019年06月22日

2019.6.22 「MUSiC」フェス〜私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫〜 in 横浜赤レンガパーク 野外特設会場

 私立恵比寿中学は今年結成10周年。その間、数多くのアーティストが彼女たちと大きく関わってきました。有名どころ・時には大御所クラスから最近だと年下の新進気鋭のクリエイターまで、範囲も多岐に渡ります。そこで今回、10周年イヤーの記念行事として、これまでエビ中に楽曲提供してくれたミュージシャンを迎えて初の主催フェスを横浜赤レンガ倉庫で開催する運びになりました。今年は出来る限りフェス中心に、アーティストはエビ中メインに考えている自分としては、当然行くという選択肢しか存在しません。というわけでその様子をレポしていきます。出演アーティストは以下の通りです。では早速どうぞ。

桜エビ〜ず(Opening Act)
HERE(「春休みモラトリアム中学生」提供)
ニューロティカ(「元気しかない!」提供・コラボ)
魔法少女になり隊(「ちちんぷい」提供)
SUSHIBOYS(「熟女になっても」提供・コラボ)
POLYSICS(「Another Day」コラボ)
ももいろクローバーZ(姉貴分的存在ゲスト)
吉澤嘉代子(「面皰」「日記」「曇天」提供)
岡崎体育(「サドンデス」「Family Complex」提供)
ゲスの極み乙女。(「トレンディガール」「あなたのダンスで騒がしい」提供)
フジファブリック(「お願いジーザス」提供)
私立恵比寿中学(メインアクト)



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グッズのラインナップ。待機列は長め。 #MUSiCフェス

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こちらは本日出演するアーティストのグッズ #MUSiCフェス

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 会場到着後に荷物をクロークに預けて、飲食エリアで少し食べて時間があればグッズを買って…と言ったところでしたが、予報がよくなかった天気は10時過ぎに雨脚が強まります。赤レンガ倉庫の建物に入り、出たところで何とか食べつつ開演30分前にはステージ前のスタンディングエリアに移動。結構な具合の雨で、持参したレインコートが大変役に立ちました。なお物販では急遽?雨合羽の発売を開始。ものすごく売れたようで、13時くらいには完売のアナウンス。なお今回のMUSiCフェスは、私立恵比寿中学の公式アカウント@ebichu_staffが、随時沢山の情報をアップしていました。Twitterでリクエストを募った客入れBGMは以下の通り、終演後にセットリストも発表されています。



 11時になり、ビジョンに公式の映像が流れます。メンバーのコメント、出演アーティストのメッセージが紹介されています。やはり、岡崎体育のメッセージは会場バカウケしていました。どういう意味の文章なのかは、サッパリ分からないですが…。映像が流れた後に、私立恵比寿中学の6人が登場します。真山が堂々と選手宣誓、りったんもロックなノリで場を盛り上げます。なお宣誓の文面は「ミュージックマンシップにのっとり、素敵なゲストの皆さんに10周年をお祝いして頂くことを誓います!」。こういう宣誓で”していただく”という表現を聞いたのは初めてのような気がしますが、そこもなんとなくエビ中らしい印象もあります。


桜エビ〜ず(Opening Act)

 Opening Actを飾るのは、事務所の後輩アイドル・桜エビ〜ず。2015年結成で平均年齢16歳、エビ中の研究生ユニット・妹分的存在として活動しています。BSフジで放送されていた冠番組『エビ中++』でもコーナーが作られていましたので名前は勿論知っていますが、パフォーマンスと楽曲は初見。衣装は先ほどオープニングに登場したエビ中メンバーと、大きく変わりはありません。
 「エビ・バディ・ワナ・ビー」からアクトスタート。メンバーは6人、いずれも個々にかわいさを感じさせます。「タリルリラ」は糸巻き巻きの歌詞が耳に残ります。先輩に倣ってというより事務所の育成方針だと思いますが、やはりダンスだけでなく声量も鍛えられています。特に歌唱力が高そうなのは絞り切れなかったですが3人ほどいるでしょうか。「おねがいよ」「さいしょのさいしょ」と曲が進むごとに聴かせ所がハッキリしているパートが現れて、そのたびにロングトーンをバッチリ決めてます。
 「それは月曜日の9時のように」「リンドバーグ」と、合計6曲披露。楽曲は特に「さいしょのさいしょ」「リンドバーグ」辺りが非常によく出来ていて、なかなかの粒揃い。カッコ良いアイドルを目指して活動しているらしいですが、確かにそれを強く感じさせる内容でした。勿論全てが完璧というわけでなく、ところどころの音程特に平歌あたりでまだまだ成長中と感じさせる場面もありました。ですが先輩方と比べるとまだまだ若くてこれから、このステージをきっかけにファンになって追ってみようという人もいたのではないかと思います。5年後に先輩と同じように主催フェスを開催できるくらいまで、人気を伸ばして欲しいと心から思えるパフォーマンスでした。ちなみに大雨の天候は、少しずつ弱まってステージが終わる頃にはほぼ止んだ形。今回のフェスはこれまで行ったどの野外会場よりも天候とステージの調和性が大きかったですが、詳しくは後のステージで…。



HERE

 ハイテンションなライブを売りにしているスリーピースバンド。エビ中との縁はボーカル・尾形回帰がアルバム『穴空』に「春休みモラトリアム中学生」を提供、というよりエビ中++にレギュラー出演していたことでお馴染みでしょうか。そちらではテンションの高さよりマジメさの方が印象に残りましたが、ステージも双方の面が出ていたような気がしました。ちなみに他のメンバー2人もガチのエビ中ファミリー、紹介動画によると握手会に参加してリストバンドも装着しているそうです。なお今回サポートのドラムは9mm Parabellum Bulletのかみじょうちひろ。こう書くと失礼かもしれませんが、本体より豪華です。
 「HIGH TENSIONS DAYS」から早速会場のテンションをあげます。歌い出しから振り付けも含めた大合唱。ただよく聴くとそれ以外は思ったよりノーマルでそこまでテンション高い感じでもないような…。いやいやそれは気のせいですね。続く「はっきよい」は曲の随所にみんなで”イェイイェイ”連発、ものすごく楽しいステージです。「ギラギラBODY&SOUL」もみんなで"BODY&SOUL!"、広い会場を一体にしておおいに盛り上げます。
 すっかり空は雨がやみました。MCではハイテンションを標榜すると同時に、”ロック界のサニーボーイです!”と高らかに宣言。そして”これ松野さんにも届いているよね!”と空に向かって呼び掛けます。その直後「LET'S GO CRAZY」の演奏が始まると同時に、雨がまた降り始めました。曲が進むとともに雨脚は強くなり、すっかり約1時間前と同じ状況に。こんな絶妙なタイミングで天候が動くのは、神の采配と言うべきでしょうか回帰さんらしいと言うべきでしょうか、あるいはりななんが空から見ていることを証明しているのでしょうか。「死ぬくらい大好き愛してるバカみたい」「己 STAND UP」と合わせて計6曲のパフォーマンスは、大変盛り上がった素晴らしいアクトでした。



ニューロティカ

 結成35周年、通算2008回目のライブを迎えるインディーズバンドの雄・ニューロティカ。最新アルバム『MUSiC』にベース・KATARUが「元気しかない!」を提供(作詞はクドカン)、ボーカルのあっちゃんことイノウエアツシが参加しているのも記憶に新しいです。ちなみに個人的にはCOMIN' KOBE 09で見て以来10年ぶり、ものすごく久々。当時はバンドの予備知識さえも全くない状況で、あっちゃんのメイクとキャリアの長さに驚いた記憶があります。当時40代、ということは単純に考えて現在50代。ですのでMCでは今回のフェスでおそらく最年長、中学生でいう仲間外れグループで楽屋に誰も挨拶に来ないなど、思いっきり自虐MCを展開していました。
 冒頭あっちゃんが自ら頭に水をぶちまけて、”これでお前らと同じだー!!”と叫びながら登場。ステージは「嘘になっちまうぜ」からスタート。曲は思いっきりパンクロック。このドラムの刻みだと、自身のワンマンもしくは規制の緩いフェスなら絶対にモッシュやダイブが起こるのですが、今回のオーディエンスはそういうのに慣れていない人が大半なのでしょうか、禁止行為とは言え前方では一切ありませんでした(後ろの芝生エリアは不明ですが)。ですので少し大人しいかなと思いましたが、次の「チョイスで会おうぜ」ではしっかり手を動かしてコールしています。”パオパオ”が印象深いこの曲は1989年発表、そういえば10年前のカミコベでも演奏されていました。タオル曲「気持ちいっぱいビンビンビン!!」を経て前述のMC、その後エビ中メンバーが登場して「元気しかない!」のコラボ。ぽーちゃんはあっちゃんのメイクで登場します。そのあっちゃんは、「この曲で紅白出ようぜ!」と何度も大声で叫んでいます。

 1コーラス歌ったところで問題のセリフパート。ひなたの声が港カヲルになるくだりですが、音源と少し様子が違います。と、そこで本人登場。ここぞとばかりに大暴れします。衣装は特に後ろの露出度が高く、綺麗な言葉で表現するとセクシーといったところでしょうか。もっとも最近は皆川猿時という名の俳優業が以前にもまして順調なので、万一のことがあると逮捕以上にシャレにならない事態となります。ですので大暴走しつつもそこだけはギリギリわきまえていました。しまいにはひなたの顔にマジックで髭を書いて、帽子まで被せていましたが。あっちゃんもぽーちゃんのくだりを生でやっていましたが、若干港カヲルのパフォーマンスに圧倒されてた感もあったでしょうか。とにかくこのステージは特に後半以降かなり混沌としていました。ちなみにNHK方面でメンバーが大忙しということもあってか?港さんはこれが今年の仕事始めかつ仕事納めなのだそうです。
 ニューロティカのステージに戻って、デビュー以来演奏し続けてる「DRINKIN' BOYS」のパフォーマンス。みんなで”ヤーヤーヤーヤーヤー!”のコール、ついでに間奏では年代ごとにコール&レスポンスも行います。意外にも?このフェス10代の比率はものすごく低いようで、”少ないですねー”というコメントが思わず。20代は結構いますがそれでも半分に満たないようで、30代もまた想像以上に少なめ。で、40代はと言うとこれはかなり多い模様。果たして50代は…というところで押してますよというスタッフの合図。そのまま後半と「飾らないままに」のパフォーマンスで締め。ライブバンドの真髄を見るような熱いアクトはMCでの笑いも多く素晴らしい内容でした。10年後のあっちゃんは60代ですが、その時でも今の格好のまま当たり前のようにバンドを続けている姿を見たいです。





魔法少女になり隊

 音合わせから登場しているのは、MCを担当するgariさん。なんとなくコミカルさを感じさせる姿は、吉本新喜劇のすっちーに少し雰囲気が似てるように思えたのは自分だけでしょうか。ここ最近は各ロックフェスに出演する機会も多くなり、評判もかなり上々なので個人的にも一度見たかったアーティストの一つです。
 このバンドはコンセプトがかなりハッキリしています。その内容はボーカル・火寺バジルが喋れなくなる呪いをかけられて、歌という魔法で呪いを解く冒険を展開する…という設定なのだとか。ビジョンには、公式Youtubeにもアップされている序章のムービーが流れます。ちなみに各曲ごとに凝った映像もしっかり作られていて、初見の自分にとっては映像もステージも両方見ないといけない状況で、なかなか現場だけでは情報処理が追いつかなかった面もありました。

 ライブは「ヒメサマスピリッツ」からスタート。核になるのはバジルさんのボーカルと、gariさんのスクリーモ。この手の音楽でメジャーになったバンドと言えばFear, and Loathing Vegasですが、彼らと比べると楽曲はポップで親しみやすいでしょうか。若干gariさんの位置づけはglobeのMARCに近いものがあるようなないような…。「おジャ魔女カーニバル!!」「周回とセイレーン」と続くセットリスト、盛り上がりだけでなく和を感じさせるメロディーも耳を惹きます。
 お待ちかね、エビ中に提供した「ちちんぷい」のセルフカバーは映像にエビ中メンバーを思わせるキャラクターも登場。言うまでもなく、発表当時のメンバーの人数8人です。曲後半からはエビ中メンバーも登場、お馴染みの振り付けも全員一緒に披露。
 「完全無敵のぶっとバスターX」「冒険の書1」も含めて計6曲の披露は、その世界観も含めてハマればハマるほど楽しくなるパフォーマンスでした。どこまでこのコンセプトを貫けるのかという面も含めて、今後の活動も大変興味深いです。



SUSHIBOYS

 昨年のシングル「でかどんでん」のc/wに収録された「熟女になっても」でコラボした新進気鋭のヒップホップユニット・SUSHIBOYS。早速なかなかカッコ良い楽曲で決めていますが、そのタイトルは「軽自動車」。直後のMCによると、埼玉県越生町から地域のステータスを上げるためにやってきた、日常に近い題材をいかにカッコ良く歌うかを目指している、エコなグループであるとかなんとか。というわけでステージにはDJセットとなぜか自転車。どうやらセットの横にある自転車で自家発電しているようで、続いての楽曲は「ママチャリ」。トラックはカッコ良いですが歌詞の題材が題材なのでどういう気持ちで聴けばいいのやら…なんてことを考えてるうちに演奏が止まります。どうやら自転車が発電しなくなったみたいで、会場のテンションを上げると再開できるのだとか。気分次第も甚だしいというツッコミを心の中で入れつつも一斉に”ママチャリ!ママチャリ!”と声を挙げて盛り上げて発電再開、ちなみに自転車の登場はこの曲のみでした。
 乗り物の曲が続いたところで、今度はランボルギーニならぬ「ダンボルギーニ」。ヒップホップ以外でもおそらく過去にないであろうダンボールを題材にした楽曲。その次は夏をテーマにした楽曲、となると「夏の思い出」や「楽園ベイベー」「熱帯夜」みたいに海とか水着とかをテーマにした軟派な内容かと思いきや彼らの場合は「アヒルボート」。3体の大きなアヒルちゃんが登場してクラウドサーフ。”ア・ヒ・ル!ア・ヒ・ル!”とカッコ良く連呼する楽曲、こんなの1回聴いたら耳に残るに決まってます。
 彼らは今回のような大きいステージで歌う機会はほとんどなかったようで、サナギから蝶になって羽ばたきたいという宣言のもと「SANAGI」、ラストは音楽こそがこれだと歌う「DRUG」。楽曲だけでなくMCを見ていても好青年そのもので、素直に応援したくなりました。平和なラッパーとしてはlyrical school、DJみそしるとMCごはんと双璧。よく考えると歴史的に見て日本のラップの走りは「俺ら東京さ行ぐだ」で一般的に音楽として大きく広がったのは「DA.YO.NE.」「MAICCA〜まいっか」なわけです。そう考えると彼らがそれこそサナギから蝶になって羽ばたく日は、意外と遠くないのかもしれません。



POLYSICS

 あらゆるロックフェスに出演しているPOLYSICS、個人的に見るのはこれまた結構久々で2012年RADIO CRAZY以来7年ぶり。エビ中との縁はシングルc/w曲「Another Day」提供、ただ6年前の楽曲であるとともに正直干され曲なのであまり印象はないような…。
 セットリストは「Sun Electric」「Young OH! OH!」「Sea Foo」「Twist and Turn!」「Kami-Saba」「Let's ダバダバ」「シーラカンス イズ アンドロイド」「BUGGIE TECHNICA」。定期的に彼らのステージを見ているわけではないですが、おおよそイメージ通りに盛り上がる、”トイス!”という言葉が連発する安定した内容でした。「Kami-Saba」は、同日に配信開始でこのステージが初披露。ただロッキン辺りのフェスと比べると、彼らの音楽と空気に慣れていないオーディエンスは若干多かったかもしれません。

ももいろクローバーZ

 昨年西武ドームで行われた夏Sでは、スタダ所属のアイドルが全員集合してももクロ10周年を盛大にお祝いしました。今回のエビ中フェス、当然ももクロがエビ中に楽曲提供している訳がないのですが、事務所の姉貴分として昨年の10周年のお返しとして出演するに至った次第。おそらくモノノフとファミリーを兼任しているオーディエンスも一定数いるはずで、加えて何度かフェスで見ているモノノフ軍団は半端ない濃さ。ですので前方の密集具合は今回も相当なものがありました。ツアーに同行しているバックバンドも引き連れて、かなりの本気モードです。その中には、かつてエビ中に「ハイタテキ!」「紅の詩」を提供したTAKUYAの姿も。JAMモデルのギターで、音合わせではかの名曲「そばかす」のイントロまでサービス。果たしてあのバンドが再結成する日は訪れるのでしょうか。というより前段階から相当盛り上がっています。各楽器のパート、ボーカル4人だけでなくオーディエンスもリハーサルに参加して準備しているかのような雰囲気。
 前回見たのは2015年のイナズマロックフェスなので4年ぶり。overtureに乗せて、メンバーカラーのドレスを身にまとって登場した4人は、これまでとは違うオーラと貫禄があります。4人編成になって新たに作られた現在の自己紹介ラップソング「The Diamond Four」からスタート。天気はすっかり雨が止んでます。ちなみにエビ中の雨女は星名と柏木、ももクロの雨女はあーりんなのだそうです。
 ももクロで体力尽きるくらいに盛り上げろうぜと叫ぶ夏菜子のノリは間違いなくロック。というわけで続いての演奏は「あんた飛ばしすぎ!」。これまで見たフェスのももクロは案外アルバム曲やカップリングの選曲が多かったですが、今回は「サラバ、愛しき悲しみたちよ」「労働讃歌」と思いっきり知名度の高い曲。メンバーは勿論ですが、モノノフたちも大きな会場を何回も経験しているだけあって?一体感と親和性が半端ないです。少なくともももクロに関しては、ライブに行くにあたって観客ではなく演者として心構える必要がありそうです。ちなみに「労働讃歌」では、れにちゃんが直後にある夏菜子のパートを歌うというまさかのハプニングもありました。
 同じ事務所とはいえ、ももクロとエビ中が同じ日に共演する機会はフェスでも滅多にありません。そして今回アルバム『MUSiC』ではももクロがゲストボーカルで参加している楽曲があります。というわけでラストはエビ中のメンバーが登場。「COLOR」を10人で初めて披露します。とびっきりの笑顔を見せる10人、サビで交互にジャンプする振り付け、それは最高にハッピーでピースフルな空間。



吉澤嘉代子

 これまでエビ中に「面皰」「日記」「曇天」の3曲を提供している吉澤嘉代子。彼女の存在を知ったのは「面皰」の楽曲提供でしたが、そのユニークな歌詞と曲調は只者でない感が相当ありました。思い返せばこの3曲、同じ作曲者でも楽曲の性格が全く異なります。彼女もここ数年で注目度が大きく上がっていて、今回最も見たいアーティストの一人でした。
 ステージは「残ってる」からスタート。ルックスも思いっきり美人ですが、それ以上に綺麗な歌声が耳に残ります。艶がある、という表現がピッタリでしょうか。雨がやんで雲がかかって、こういうのはなんて言うんでしたっけ?…と普段やらないらしい曲フリの後で演奏されるのは「曇天」のセルフカバー。2曲目ですが、出す声が先ほどの「残ってる」と違ってやや厚め。引き出しの多さは楽曲に関して言うと提供曲や昨年のアルバムを聴いて想定済ですが、どうやら彼女の場合は声に関しても当てはまるようです。楽曲に合わせて多彩に使い分けられる歌声は、それこそ”魔法の歌声”と称して良いでしょうか。更に言葉の発音もかなりハッキリしているので、歌唱力は相当高いと考えて間違いなさそうです。
 この後は「シーラカンス通り」「えらばれし子供たちの密話」「泣き虫ジュゴン」の3曲を演奏。所属しているレーベルの日本クラウンも事務所のヤマハもストリーミングにはやや消極的で、昨年のアルバム以前の楽曲解禁が待たれるところですが…。一つ一つの楽曲ごとに異なる世界観、その全てに強い個性を感じさせます。おそらくあいみょんの次に大ブレイクする女性ソロアーティストは彼女ではないでしょうか。なんだかそんなことまで思わせるパフォーマンスでした。
 バンドメンバーはここで退席して、代わりにぽーちゃんが登場。ラストは弾き語りで、彼女が主演したドラマ『また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ』の主題歌として作られた「日記」。歌前のぽーちゃんとのトークは、お互いがお互いに惚気合うような状況で大変微笑ましくなりました。2人の歌声もまたそんな雰囲気で、完全なる癒しの空間。双方が持つ天賦の才能が、”ぶつかり合う”ではなく”溶け込み合っている”ステージと言って良いでしょうか。少なくともこの2人でしか出せない唯一無二の空間が、そこに存在していました。



岡崎体育

 先日ついに、目標にしていたさいたまスーパーアリーナ単独公演を成功させた岡崎体育。ですが音合わせから会場を沸かせるのはそのままで、個人的に見るのは2年前のYATSUI FESTIVAL!以来ですが良い意味で変わりありません。ステージは、オープニングの「Stamp」から会場を大きく沸かせます。会場全員を足踏みさせて、そのまま「R.S.P」に移行して全員を踊らせます。途中ジャンケンで勝った人だけ踊らせる場面もありました。この2曲はCDやストリーミングで音源化はされていませんが、ここ最近の彼のライブではお馴染みの流れのようです。スーアリのワンマンにはエビ中のアネキも全員駆けつけてくれたと話す彼。そのほとんどが温かい言葉をかけてくれましたが、なぜか安本のアネキだけからは「エビ中フェスもその調子で頑張ってください」というどえらい一言を頂いたようです。さすが彼女らしいと言いますか…(笑)。というわけで「さいたまスーパーアリーナの熱量持ってきました」と叫ぶ体育さん。
 先日ソロデビューを果たしたらしい相棒のてっくんと一緒に「フレンズ」。数少ないソロアーティストの自分と吉澤嘉代子はバンドに嫉妬していると約一名勝手に巻き込んで始めたステージは、バンドざまあみろのくだりでエビ中メンバー3人が乱入。ほぼ同時に再び雨が降り始めました。バラードを歌いますという展開で始まる「Voice of Heart 2」は勿論曲後半がお約束、ただ心の声はリコ・ナカヤマでした。”太っちょマーガリン””全身ミートボールくん”など、辛辣な発言を連発。彼女の強くて癖のある声が、余計にハマっています。
 Twitterではおそらく誰も当てられないと予想した今回披露するエビ中楽曲カバー、実際には4, 5人が的中させていたみたいですが…。歌うのは個人的にも学芸会で見た記憶が全くない「あるあるフラダンス」。フリップでエビ中メンバーのあるあるを披露していました。美怜ちゃんのフルーツケータリングネタやひなたのスワローズ16連敗ネタなども良かったですが、一番のツボはぽーちゃんのインスタにある”#あははって結局なんなん”のくだり。ただネタ中心でもラストできっちりカッコ良く締めるのも体育流。今回は「XXL」「The Abyss」が選曲されました。次回もまたどこかで見られるのを、楽しみにしたいです。



ゲスの極み乙女。

 メンバーが主演したドラマ『神ちゅーんず』の主題歌・挿入歌と音楽を担当した川谷絵音。つい最近関わり始めたとは言え、このクラスが出演してくれることで今回のフェスのステータスが間違いなく上がった印象があります。楽曲はまず大ヒット曲の「猟奇的なキスを私にして」「ロマンスがありあまる」に疾走感のある名曲「crying march」を披露。MCではエビ中との関わりと、ドラマに出演した話。休日課長もちょこっと出ていたようですが、本人は見るのが恥ずかしかったとの話。絵音さんに言わせると完全に失敗という扱いで、この後ベースソロがあるたびにドラマの失敗をここで挽回という煽りを入れられる展開に。
 今年の新曲「秘めない私」はドラムのほないこかがマイクの前に立ってボーカルを務めます。ピンクのTシャツで歌う姿が妙にセクシーでした。終盤はブレイクのキッカケになった定番曲の「パラレルスペック」「キラーボール」。2年前に見た時にも感じましたが、やはり個々の演奏能力特に休日課長とちゃんMARIの技術がシャレになっていません。今年は例年になくリアルタイムで勢いを伸ばしているバンドを見る機会に恵まれていますが、間違いなくこの2曲を発表された時期に見ていたら大絶賛のコメントを連発していたでしょう。やはり彼らはブレイクすべくしてブレイクする存在であることが、他の曲もそうですが特にこの2曲のパフォーマンスを見るとあらためて確信できます。ボーカル・川谷絵音の伸びのある歌声も流石。彼は楽曲提供だけでなくindigo la Endやジェニーハイも手がけていますが、そろそろ後者2組のステージもいい加減見る必要がありそうです。不倫だのなんだの色々騒がれましたが、やはり彼がミュージシャンとして才能の塊であることは疑いようのないところ。



フジファブリック

 ワンマンライブに足を運んだことはありませんが、フェスで見るのは今回で6回目。少なくとも2年に1回は見ているペースで、ワンマンに行ってないアーティストの中ではトップクラスに多く見ています。最初に演奏された「夜明けのBEAT」は、その全てで演奏される定番曲になっています。「徒然モノクローム」「LIFE」も、比較的新しめの曲ですが以前にも見た機会はあって、これも定番と言って差し支えはあまりなさそうです。ここまでは普段と大きく変わりないと思われますが、違うのはここから。
 エビ中とはテレビの音楽番組のゲストで共演したこともあるそうですが、やはり一番の縁は楽曲提供をしたこと。そしてその中で、”大切なメンバーの悲しいことがあったりしながら、今こんなデカいフェスをやってるエビ中を尊敬します”と、エビ中を称えつつチラッとその話題に触れます。その悲しみの大きさは、同じ経験をしているフジファブリックだからこそ、通じ合う部分があったような気がします。それはメンバーを失ったことではなく、その後に主催フェスを行ったことも含めて…。そういえばフジファブリックがそれを乗り越えて作られた最初のアルバムが、「夜明けのBEAT」も収録されている『MUSIC』でした。
 彼女たちに提供した「お願いジーザス」が演奏されます。勿論エビ中のパフォーマンスで何度か見ている楽曲ですが、この曲に限って言うと今回のセルフカバーのパフォーマンスが間違いなく一番印象的でした。曲中に再度降り出した雨、その強さは曲が進むごとに激しさを増していきます。
 その後に続けて演奏されたのが、かの名曲「若者のすべて」。年を経るごとに感じ入ることが多くなるこの曲ですが、今回この流れで聴く「若者のすべて」は本当に特別。演奏中とめどなく降り続けた雨が、曲が終わった瞬間にピタッと止んだ光景は間違いなく一生忘れることないでしょう。雲の上で、あの2人がステージを見ていてそのまま風のように去っていったと解釈することも出来るでしょうか。



私立恵比寿中学

 ラストを飾るのは今回のメインアクト・私立恵比寿中学。お馴染みの「ebiture」から始まり、出演してくれたアーティストから頂いた感謝をお返ししますとばかりにまず披露されたのは「青い青い星の名前」「キングオブ学芸会のテーマ」「えびぞりダイアモンド!!」。新旧織り交ぜた3曲、特に今年のファミえんテーマソングにもなった「青い青い星の名前」はライブ初披露。足の怪我のため先日のライブハウスツアーで一部出演に留まった美怜ちゃんは、一部まだ立ち位置固定で完全復活とまではいきませんが新しい曲は足も動かしていて、2ヶ月のファミえんの頃にはもう問題なくパフォーマンス出来そうでしょうか。無理をさせないという判断は開校時からの運営方針で、そういう部分も推せる要因の一つになります。
 「あなたのダンスで騒ぎたい」「結ばれた想い」と新しい曲が続いた後に「ナチュメロらんでぶー」。ひなたとりったんが特に素晴らしい声量を見せる中で、安本さんだけは若干調子悪めでしょうか。後のMCによると、ここまでのアーティストのステージで盛り上がり過ぎて声が枯れてしまったのだとか。彼女の天然っぷりはまさしくいくつになっても中学生、といったところでしょうか。
 3ブロック目はしっとりめの曲ということで「幸せの貼り紙はいつも背中に」、そして「なないろ」。日が暮れて夜になる一歩手前の上空はまだ僅かながら青い色も見えます。空を見上げる親友の安本彩花、サイリウムもこの曲は心なしか青色が多くなっています。そして夜空を迎えるように「フレ!フレ!サイリウム」。この時間だからこそ、そしてこの雰囲気ならではこそ。セットリストとしてはこれ以上やりようのない、完璧な流れになっています。
 4ブロック目でもうラスト。時間が経つのは本当に早いです。えーというレスポンスの後に「ちょっと、それはどっちのえー?」と岡崎体育のパフォーマンスを披露しますが、全く揃わずグダグダ。仕切り直しでTAKE 2、なんとか決まった後で「熟女になっても」、そして彼が提供した「Family Complex」。曲の後半、歌詞にメンバーの名前が潜んでいる所でファミリーがコールします。ものすごく揃っています。ここで美怜ちゃんが感動で泣いてしまいます。思えば先日のツアーではステージに立てなかったので、この曲に関してはこれが初舞台。色々な感情が混ざり合って、完全に想いが溢れてしまったようです。ここもまた、メンバーとファミリーの団結力を強く強く感じた名シーンでした。本編ラストは「仮契約のシンデレラ」。曲中のセリフを”今日は『MUSiC』フェス、本当に、本当に、楽しかったです!”と心から叫ぶ真山りか。スタンディングエリアは勿論、芝生エリアの向こうの向こうのその向こうまで一杯に埋まっている特設ステージ。歌い終わった後に話すメンバーのコメントも、嬉しさで溢れていました。アンコールは「永遠に中学生」。数年前は大学芸会でファミリーが肩を組んでくれないと運営が嘆いていましたが、今日は少なくともスタンディングエリアでは全員肩を組んでいます。時とともにメンバーもそうですが、ファミリーもまた成長していると言っていいのかもしれません。



 10周年を記念して行われた主催フェスは、本当に来て良かったと心から思える内容でした。今回天候には恵まれなかったですが、一つ一つのステージとしてはこの天候が奇跡を呼んだという展開がいくつもありました。野外フェスは天候も重要な要素ですが、ここまでステージに大きく左右する事案が多かったフェスは初めて見たような気がします。
 来年もこのフェスをやりたいという言葉がメンバーからありましたが、可能なら是非また足を運びたいです。また、15周年も20周年もずっとエビ中は続けていくという力強い言葉もありました。パフォーマンスはもう唯一無二の領域に十分達していますが、実のところこれがピークだと一切感じさせないのが彼女たちの凄いところ。インタビューを読んでいても、アイドルとしての誇りを感じさせる部分や心情的に強くなったと思わせる部分がこれまで以上に増しています。そして、これだけのファミリーとミュージシャンを集めることが出来る6人の人徳。10周年は到達点ではなく通過点として、まだまだ活躍し続けて素晴らしい楽曲・ライブを見せてくれることをあらためて期待したいです。おそらくは、自分も遠い将来メンバー全員卒業となるその日までファミリーとして動向を追い続けることになりそうです…。




posted by Kersee at 11:00| Comment(0) | 音楽フェスティバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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