2箇所とも個人的に初めて訪れる会場になるので軽く説明します。サンドーム福井は1995年に開場した施設で、北陸地方では石川県産業展示館4号館とともに、数少ないアリーナ級の会場になります。最寄駅はJR鯖江駅から徒歩15分、福井鉄道サンドーム西駅からも同様。はっきり申し上げると鉄道ではなく車の方が圧倒的に便利なアクセスです。全体的に意匠を凝らした建物で音も大変優れていますが、鉄道移動だとかなりネックになる会場でもあります。行きはともかく、日帰りで関西に帰るには結構な体力を要しました。決して大きくない鯖江駅に停まる列車も普通が30分に1本(2両〜4両)・特急が1時間に1本だと、帰りの大人数を捌くにはやはり大変です。
和歌山ビッグホエールはJR和歌山駅から比較的近い距離で、その点では便利ですが大阪神戸と比べるとどうしても地理的に不利な面があります。関西在住ですが訪れる機会はこれまでありませんでした。それもそのはず、ワンマンで使われるのは2014年の小田和正以来2年ぶり。以前はコブクロがここでの年1回公演を恒例にしていましたが、やっぱり他はどうしても大阪城ホール・神戸ワールド記念ホールの方に行ってしまいます。会場もその2つと比べると若干小さかったでしょうか。その分こちらも音は優れていました。ちなみに1997年落成時にはクジラのごとく水が吹き上がる機能も施されましたが、近隣住民の苦情によって現在使用は控えられているそうです。
今回は福井がアリーナ後方、和歌山がスタンド前列での観戦になっています。なおネタバレ禁止がこれまで以上に徹底していて、公開は11月12日・ヤフオクドームでの追加公演まで待って頂く形になりました。その点ご了承ください。

COSMIC EXPLORER - Perfume
開場前からグッズ売り場に長い列が作られたり、衣装のコスプレをしている人が多くいたりするなど独特の盛り上がりを見せるPerfumeライブですが、開演前もまた独特。開演時間から舞台が暗転するまでアンコールの如く手拍子が入るのは、Perfumeのライブではお馴染みですが、よくよく考えると他ではあまり見られない光景。特にツアーで初めて回る形になる福井では開演アナウンス前の時点でほぼ総立ちでした。
今回のステージは中心にメインを作って、4方向にステージが伸びる形。ここ数年のPerfumeではお馴染みとなったアミドスクリーン演出からまずはスタート。「STORY」から始まり、幕が上がって流れるのは「FLASH」。主題歌となっている映画『ちはやふる』は大ヒット中、非常にタイムリーな選曲でのスタートになりました。
続く楽曲は「Dream Fighter」。2008年の楽曲なので、気がつけばもう8年も前になります。新しい曲の後で聴くとやはり違いを感じるもので、あらためてじっくり聴くとBメロのリズムにアイドルの名残があります。今は完全にアイドルという雰囲気はなくなっていますが、まだ当時はアイドルとアーティストどちらが適当と言うべきか…という状況でしたね。そんな記憶が蘇ります。そして今ツアーで初披露となる「Next Stage with YOU」。メルセデス・ベンツ『Aクラス』CMタイアップということで、やはり車の運転をイメージした振り付け。「コンピュータドライビング」を思い出します。ハンドルだけでなくそれ以外も短い歌詞とリンクしていて、いやあるいは歌以外の部分もそうでしょうか。振り付けと楽曲の親和性が高いのもPerfumeの楽曲の特徴ですが、その意味でも確実にパワーアップしている印象が強いステージでした。
4曲続けたところでMC。お馴染みの3人の挨拶から始まる喋りに、一旦水分補給ではけた後のっち→かしゆか→あ〜ちゃんの順に登場するのもお馴染みのパターン。ただ内容は時期・会場によって変わってきます。福井ではまだまだ公開中だった映画『ちはやふる』話題がメイン。和歌山ではのっちが”いいとも!”と言わせようとした所反応が薄かったシーンから、出たかった番組・例の如くコスプレいじりに入るなどとりとめのない展開。ただ2会場共通で話していたことといえば、今回のアルバム『COSMIC EXPLORER』は3人ともこれまでになく愛着があって繰り返し聴いていること、あ〜ちゃんが首に冷やす物を巻いていたことでしょうか。会場を3箇所に分けてチーム分け、福井では「あ」「ら」「た」、和歌山では「き」「わ」「み」でした。前者は『ちはやふる』から、後者は和歌山のみかんから着想して。もっともこの「きわみ」、愛媛産なんですが…。
キャリアが長くなるとその分歌わなくなる曲、あらためてライブで見せたい曲も増えるもの、というわけで今回加えられたのが寄せ集めメドレー。「Relax In The City」「透明人間」「Spending all my time」「不自然なガール」「Twincle Snow Powderly Snow」「イミテーションガール」「コンピュータシティ」「Sweet Refrain」。各曲ごとに細かく立ち位置も変えていて、見応えある内容でした。「Twincle Snow Powderly Snow」はライブだとかなり久々の披露…と言いたいところですがイントロのみのフェイクで、すぐに次の曲になりました。あと「Sweet Refrain」はすっかりメドレーのみの披露曲と化しています。フルで演奏してたのは現状2014年のREQUESTAGEとメトロックだけのような…。
「TOKIMEKI LIGHTS (Album-mix)」「Baby Face」はともに今回のライブが初披露。前者はメロディーだけでなくサビの振り付けも美しく、今後も出来る限り定番で歌って欲しいと思わせる内容でした。後者は生歌での披露。間奏でウェーブを促す場面がある辺り、こちらは来年以降も歌われる機会がそこそこ作られそうな予感がします。そしてここ最近セトリに入ることが再び多くなったような気がする「NIGHT FLIGHT」。歌詞を見なくてもその振り付けだと分かるという曲はPerfumeだと非常に多いのですが、これはその最たる例だとあらためて分かるステージでした。スクリーンがすぐ後ろにあるサブステージでの披露で、そのままセリに下がっていて前半が終了します。
いよいよ『COSMIC EXPLORER』オープニング曲の披露が始まります。「Navigate」に乗せられる映像はアルバムが示す通り宇宙。内容はスター・ウォーズと寄生獣と進撃の巨人、その他それらしいのを色々合わせたような印象もありましたが。「Cosmic Explorer」の音楽に乗せて歌う3人は、宇宙船を模した非常に大きなセットで直立不動で歌います。そこからステージに降りる場面まで動かないというのは、振り付けという意味を考えると究極の領域にまで達していると言って良いでしょうか。ツアーを重ねるたびにオーラが増している彼女たちですが、ここまでいくと完全に誰も到達できない高みまで達しているようにも見えます。
「Pick Me Up」、アルバムver.にリアレンジされた「Cling Cling」で会場を更に熱くさせます。そして今回のアルバムでも人気の高い「Miracle Worker」。実を言うと演奏する予定は当初なかったそう。ただ”起こせミラクル!”という歌詞にある通り、ホームページに寄せられたファンの声が大変大きかったことで、最終的にセットリストに加えられることになったそうです。
恒例のPTAコーナーですが、今回は前回ツアーで大好評だった3569コーナーの中に組み込まれる形。これはサイコロでセットリスト3曲を決めるという試みで、これまた前回限りの予定でしたが今回メンバーがまたどうしてもやりたいという形で実現した内容。人気・定番曲が並ぶ中でまたまた「彼氏募集中」も入る選択肢の中で選曲されたのは、福井1日目が「ポリリズム」「Handy Man」「MY COLOR」。和歌山2日目が「ワンルーム・ディスコ」「エレクトロ・ワールド」「Party Maker」。サイコロの目は、福井が「7」「☆」「☆」、後者2曲はメンバーがやりたい曲を選んだ形。和歌山は「1」「2」「3」という、狙ってもなかなか決められないような出目でした。
「Handy Man」は、ドキュメンタリー映画でもあったのっちの大失敗が印象的な楽曲。相当派手にフリを間違えたという因縁の曲をこの場でリベンジという形。見事決まったら曲終わりでガッツポーズすると予告、結果無事その通りになりました。「MY COLOR」は歌い出しで掌をかざすのを筆頭に、観客参加型で作り上げるステージですが事前予習なしでもかなりバッチリ。何回も行ってる人、初めての人もライブDVDで予習していたのかもしれません。そうそうない光景でした。和歌山2日目はかなり激しい振り付け3曲の連続、普段のセットリストだと絶対にやらない曲順なんだとか。曲だけでなく、ステージの方向や曲間のマイクの移動などもその場で綿密に打ち合わせ。東西南北4方向、ただサンドーム福井では指示する方角と会場に書かれてあった方角が合ってなかったですが…。PTAのコーナーは今回サンバ仕様。テロップもご丁寧に用意して、「マツケンサンバU」を”アミーゴ””セニョリータ”と一緒に踊って歌うのが最大のハイライトでした。そのコーナーから間髪入れずに歌われるのは「Hold Your Hand」。昨年は手にメッセージを書いた映像がバックに流れていましたが、今回はそれがない分じっくりステージを味わう形。なお和歌山では「Puppy Love」の演奏でした。
バックにラストに演奏されるベース音が流れ始めます。それに乗せて3人が挨拶。これから海外のツアーに向けるという報告、あっという間に時間が過ぎたというこの日の感想、初めて来たところなのに盛り上がるオーディエンスに感動するあ〜ちゃん、などなど。そういえばここ最近女性アイドルグループのステージを見る機会が多い中で、あらためて彼女たちのMCに耳を傾けると、喋りだけでなく聞き上手でもあることを認識しました。3人一遍に喋って聞き取れない部分がほとんどないMCは、後輩方にも見習ってほしいとあらためて感じましたが。
本編ラストは「STAR TRAIN」。スクリーンには歌詞テロップも流れます。ステージ中心から伸びるマイクで3人向き合って歌う場面・3人がそれぞれの方向に歩いていって観客に向けて歌う場面。”スタート”とかけているタイトルは、文字通りこの曲が新たなスタートになるという思いがこめられているようにも見えました。アンコールなしで、ラストはこの曲のインストをバックに来てくれたファンへ手を振って挨拶。映像にはスタッフロールが流れ、さながら映画のエンディングをそのまま体感しているかのような雰囲気でした。
総評はドームツアーのレビューで合わせて載せる形にしましたので、そちらを参照してください。

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